【グラビアインキ】DIC、溶剤使用量削減と生産性向上を実現する「ECOVART」のグローバル展開を開始
DICは、溶剤使用量を大幅に削減する省溶剤型グラビア印刷向けインキ「ECOVART(エコバート)」の日本、中国、東南アジアの国々を中心としたグローバルでの展開を開始する。同製品は、パッケージ・印刷業界におけるナフサ由来溶剤使用量の削減に加え、溶剤調達リスクの低減にも貢献する。また、印刷工程における溶剤希釈や粘度調整作業の負荷軽減による生産性向上が期待されるほか、VOC(揮発性有機化合物)排出量の低減にも寄与する。DICは、同製品を「TOKYO PACK 2026」(同社ブース:東2ホール 2R04)に初出展し、サステナブルで安定的なパッケージ印刷を支える新たなソリューションとして、今後日本を皮切りに中国、東南アジアへの展開を開始する。
近年、パッケージ・印刷業界では、環境負荷低減に向けたVOC排出量削減への対応に加え、原材料の安定調達が重要な経営課題となっている。2026年には中東情勢の影響を背景にナフサ由来溶剤の供給不安が顕在化し、包装業界においても原材料の安定調達やサプライチェーン強靭化への関心が高まった。特に地政学リスクや原材料市況の変動などを背景に、ナフサ由来溶剤の安定調達や、価格変動への対応が求められている。
パッケージ印刷で広く使用されるグラビアインキは、印刷時に溶剤で希釈し、粘度調整することが一般的。そのため、溶剤の調達状況や価格変動は、印刷工程に直接的な影響を及ぼす。また、環境規制の強化や企業のサステナビリティ目標への対応を背景に、VOC排出量の削減も重要な課題となっている。
DICはこうした課題に対し、「印刷時に使用する溶剤そのものを減らす」という発想のもと、独自開発の樹脂を活用しECOVARTを開発した。2022年には成長著しいインドで販売を開始して以来、販売数量を着実に拡大している。今後は、インド市場で培った実績とノウハウを基盤に日本への展開を開始し、溶剤規制の厳しい中国や高い市場成長が見込まれる東南アジアの国々を中心としたグローバルでの事業拡大を加速する。
ECOVARTの概要
ECOVARTは「溶剤使用量の削減」をコンセプトとして開発したグラビアインキ。既存のグラビア印刷設備を活用できるため、新たな設備投資を抑えながら、環境対応と生産性向上の両立を実現する。
特長①:「Press-Ready Ink」による生産性向上
ECOVARTは、印刷時に適正なインキ粘度へあらかじめ調整された「Press-Ready Ink(すぐに印刷できるインキ)」として提供。これにより、従来必要であった溶剤による希釈や粘度調整作業を削減し、作業時間の短縮やオペレーターの負荷軽減、溶剤購入量の削減に貢献します。また、溶剤在庫管理業務の簡素化や保管スペースの有効活用に加え、溶剤の調達負荷や価格変動リスクの低減も期待できる。
特長②:サステナブルな印刷工程の実現
ECOVARTは、印刷工程で使用する溶剤量の削減を通じて、VOC排出量低減に貢献する。社内検証において、印刷工程における希釈溶剤使用量を約50%以上削減できることを確認した*1。企業の環境目標やサステナビリティ施策への対応に加え、将来的な環境規制強化への備えとしても活用できる。また、ECOVARTは溶剤回収対応にも適したインキであり*2、更なる環境負荷低減に向けた取り組みへの活用も期待されている。
特長③:省資源化と印刷品質の両立
ECOVARTは、インキに含まれる溶剤量そのものを削減したハイソリッド設計*3を採用している。従来のグラビアインキと比較して高い色濃度を有しており、必要な色濃度をより少ないインキ使用量で実現できる。これにより、グラビア印刷ならではの優れた意匠性を維持しながら、省資源化との両立が可能になる。
DICグループは、持続可能な社会に貢献するパッケージングソリューションの提供を目指している。DICは今後、ECOVARTのグローバル展開を加速し、印刷工程における溶剤使用量やVOC排出量の削減を推進する。また、環境負荷の低減と生産性向上を両立するソリューションを提供することで、持続可能なパッケージ・印刷業界の発展と循環型社会の実現に貢献していく。
*1 同社の試験条件下での社内検証結果に基づくものであり、削減効果を保証するものではない。実際の削減効果は、使用設備、印刷条件、被印刷物およびその他の製造条件によって異なる場合がある
*2 溶剤回収:印刷工程で揮発した有機溶剤を回収し、再利用可能な溶剤として再生する技術
*3 ハイソリッド設計:一般的なグラビアインキに比べて、固形分(樹脂や顔料等の非溶剤成分)の割合を高めた設計


