【超イオン伝導性電解液技術】独EAS Batteries社、旭化成の「Acetolyte」を採用した超高出力リチウムイオンLFP電池セルの販売開始

旭化成はこのたび、旭化成が開発した超イオン伝導性電解液技術「AcetolyteTM」を採用した超高出力リチウムイオンLFP電池セルについて、ドイツの電池メーカーEAS Batteries社(本社:ドイツ テューリンゲン州、以下「EAS社」)が販売開始したことを明らかにした。
同技術を採用した電解液は、アセトニトリルを含有し、高いイオン伝導性を有することから、電池の内部抵抗の低減と出力特性の向上を実現する。特に、厳しい温度条件下において優れた性能を発揮する点が特長。両社は、2025年11月に同技術の使用に関するライセンス契約※1を締結しており、同セルの販売開始は、AcetolyteTMのライセンシング戦略における重要なマイルストーンとなる。
さらにEAS社は、同技術について、電池メーカーや自動車OEMへのサブライセンス契約を進めるとともに、次世代46xxxセルへの適用に向けた評価を進めている。46xxxセルは、直径46 mmの大型円筒型リチウムイオン電池セル。2026年中の製品化を目指して開発を進めており、試作用セルはすでに提供可能。46xxxセルは、今後、電気自動車(EV)などのモビリティ用途をはじめ、幅広い分野での活用が期待されている。
AcetolyteTMを採用した超高出力リチウムイオン電池セルの特長
性能まとめ
・同技術の採用により、従来の電解液と比べて最大約60%の出力向上を実現
・高出力特性※2とサイクル寿命※3を両立し、幅広い産業用途での活用が期待
同セルは、公称容量22Ahの円筒形リチウムイオンLFP(リン酸鉄)電池。連続放電※4時には2550W/kgの出力を達成しており、従来の電解液を使用したセルと比較して約60%の出力向上となる。
また、2秒間のパルス放電※5においては最大3760W/kgの出力を示し、従来比で約10%の出力向上を確認している。
さらに、同セルは室温条件において5C/5C、100% DoDという電池にとって負荷の高い条件でも、2400回の充放電後に初期容量の80%を維持する長寿命を実現している。従来セルでは劣化が進みやすいこうした条件下においても性能を維持できる点が特長。現在、各産業分野の顧客による評価が進められている。

EAS Batteries社のマネージングディレクターであるMichael Deutmeyer氏は次のようにコメントしている。
「旭化成のAcetolyteTMを採用した新セルの商業化は、両社の戦略的パートナーシップにおける重要な節目となります。また、46xxxセルフォーマットに関する共同開発も順調に進んでおり、コンセプトから市場投入に至るまでのイノベーションを加速する、両社の開発力と協業の強みを示しています」
旭化成 常務執行役員 研究・開発本部長 研究開発・知財担当の松崎 修氏は次のようにコメントしている。
「2025年11月のライセンス契約締結から、2026年3月の量産開始に至るまで、短期間で製品化を実現できたことは、EAS社と旭化成が連携して取り組んできた成果です。先進的な電解液技術を短期間で実用化できたことは大きな意義があります。今後も次世代セルの開発を通じて、高性能電池ソリューションのさらなる進化に貢献していきます」
■Acetolyteについて
AcetolyteTMは、アセトニトリルを含有する旭化成が開発した電解液技術。高いイオン伝導性により、低温環境における出力向上と高温環境での耐久性向上を可能とする。さらに、電池コストの低減や電池パックの小型化にも寄与し、エネルギー密度の向上にも貢献する。
■旭化成の無形資産の活用について
旭化成は2025年4月に発表した『中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~』※6のもと、研究開発においては「変わる未来のはじまりを。」を理念に掲げ、特許やノウハウ、データ、アルゴリズムなどの無形資産を活用した「TBC」を推進している。これは旭化成が保有する豊富な無形資産を多様な形態やライセンスとして提供・活用し、収益化を図る取り組み。このアプローチにより、スピード感と資産効率を両立した新規事業創出が可能となり、顧客やパートナーに最大限の価値を提供する。こうしたライセンス活用によるビジネスを、2025~2027年度で10件以上生み出し、2030年頃までの累積利益貢献で100億円以上を目指す。
※1 2025年11月4日プレスリリース
※2 高出力特性:短時間または連続的に大電力を出力できる性能。加速性能や瞬間的に大電流が要求される用途でのパフォーマンス向上に寄与する。
※3 サイクル寿命:充放電を繰り返した際に、一定の容量を維持できる回数。電池の長期使用や交換頻度の低減に寄与する。
※4 連続放電:一定電流で所定電圧まで連続して放電する方式。連続して、安定した電力供給が求められる用途に適する。
※5 パルス放電:短時間に大電流を断続的に流す放電方式。瞬間的な高出力が求められる用途に適する。
※6 中期経営計画に関するプレスリリース


