【バイオエンプラ、構造色フィルム、3Dプリント用ポリエチレン】三菱ケミカル + ポエティック・キュリオシティ、ミラノデザインウィーク2026での初展示「Curious Matters」閉幕

デザインスタジオ POETIC CURIOSITYは、三菱ケミカルとともに、2026年4月21日から26日までイタリア・ミラノで開催されたミラノデザインウィーク2026のプログラムであるリッタ宮・MoscaPartners Variationsにおいて、初の共同展示「Curious Matters(キュリアス・マター)」を開催し、世界中から約5万8千人の来場と盛況のうちに終了した
この展示は、歴史的建造物であるリッタ宮(Palazzo Litta)を舞台に、三菱ケミカルの先進素材をデザインの力で再解釈し、その未知なる可能性を提示した。
なおFuorisalone 2026のSustainability and Research部門において"Special Mention"(特別表彰)された。
■ 展示の振り返りと成果
同展では、三菱ケミカルが開発した3つの素材——バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO™」、構造色フィルム、3Dプリント用ポリエチレン——を用い、POETIC CURIOSITYが「Curious Matters(好奇心物質)」のテーマのもとに3作品を発表し、インスタレーションとして披露した。
会期中、世界各国のデザイナー、建築家、メディア関係者などにも多数ご来場した。特に、素材が持つ物理的な特性(透明度、発色、造形性)を「感覚的な現象」へと昇華させた表現に対し、「化学メーカーの技術力と、それを詩的に翻訳するデザインの融合が素晴らしい」といった高い評価を数多く得た。
■ 展示作品のハイライト

Curious Matters キュリアス・マター
「Curious Matters」展は、先端素材を彫刻や絵画といった根源的な形式を通じて体験する展示。
三菱ケミカルとPOETIC CURIOSITYは、DURABIO™、構造色フィルム、リサイクル可能なポリエチレンという3つの素材実験を提示し、それぞれの光や動き、手触りを引き出す作品を制作した。仕様書に記された性能の先に、素材がまだ見せていない表情がある——その可能性を、デザイナーと素材研究者の対話から探る試み。
Ice
Material: DURABIO™
Dimensions:W350 D300 H300 (mm)
ガラスのような透明性と高い強度を併せ持つDURABIO™を、鑿で削り、炎で炙ることで、氷塊を思わせる造形を作り出した。削った箇所は透明感を増し、炙った箇所には曇りが残る。この対比が、溶けかけの氷のような表情を生み出しています。通常は割れてしまうような加工は、DURABIO™の高い耐衝撃性があってこそ可能になる。

Log
Material: DURABIO™
Dimensions:W7000 D800 H800 (mm)
空間の中央に横たわる全長7メートルの大型彫刻は、実際のケヤキの木を3Dスキャンし、DURABIO™で出力した。表面を鑿で削り込み、3Dプリント特有の積層痕を取り除くことで、樹皮のような質感が現れました。裏側にはプリンターの痕跡がそのまま残されており、デジタルファブリケーションと手仕事の対比が1つの彫刻の中に共存している。黒いペレットを溶かし込むことで、樹液のような艶やかさも加えた。

Drawing
Material: Structural colour-film, wood, kinetic mechanism, 3D-printed PLA
Dimensions:W600 D600 H1960 (mm)
三菱ケミカルが新たに開発した構造色フィルムは、見る角度と光の条件によって色が鮮やかに変化する。絵画は光を描くために色を使いますが、構造色フィルムは光そのものから色を引き出す。この逆転した関係に着目し、フィルムを張ったキャンバスをゆっくりと回転させるキネティック作品に仕立てた。回転するキャンバスが周囲の光を探し、刻々と変わる色彩を描き続ける。

また同展では、日本ポリエチレンが開発した3Dプリント用ポリエチレンを作品の梱包材としても活用した。この素材は粉砕・再溶融が可能なため、会期終了後に回収し、次回の展示の梱包材として再び3Dプリントで成形することが能。展示ごとに素材が循環する仕組みを通じて、展示会におけるサステナビリティの実践を提案している。

■ 主催者コメント
三菱ケミカル株式会社 プロジェクトマネージャー 須藤慶一氏
「初のミラノデザインウィーク出展を通じて、私たちのすでにある材料や技術がこれほどまでに多様な感性と反応を引き出すことに、大きな手応えを感じました。技術をスペックとして語るだけでなく、デザイナーとの対話を通じて『体験』として提示することで、新たなパートナーシップや用途の可能性が広がったと確信しています」
POETIC CURIOSITY(青沼優介氏・三好賢聖氏)
「仕様書が語る性能の先に、素材がまだ見せていない表情がある。三菱ケミカルの素材研究者の方々との対話と実験の中で、そう確信したシーンが何度もありました。歴史あるリッタ宮を舞台に、世界中から訪れた方々がDURABIO™の彫刻に触れ、構造色フィルムの色の変化に足を止め、問いを投げかけてくださった6日間は、素材の可能性が人の好奇心を通じて初めて開かれることを実感する時間でした。この協働をここで終わりにせず、素材とデザインの対話を続けていきたいと考えています」
■ 今後の展開
今回のプロジェクトで得られた知見やネットワークを活かし、三菱ケミカルは素材の「グリーン・スペシャリティ」化をさらに加速させる。POETIC CURIOSITYは、今後も企業や研究機関とのコラボレーションを通じて、詩的な好奇心を形にする活動を展開していく。
なお、同展示の様子を収めたアーカイブ映像・写真は、公式サイトにて順次公開予定。
■ 開催概要
展覧会名:Curious Matters
出展社名:POETIC CURIOSITY + MITSUBISHI CHEMICAL CORPORATION
会期:2026年4月21日(火) - 4月26日(日)
会場:MoscaPartners Variations, Palazzo Litta, Corso Magenta 24, Milano, ITALY
ポリエチレン素材協賛:日本ポリエチレン株式会社
3Dプリント技術協賛:株式会社昭栄美術

