【2050年カーボンニュートラルの実現+持続可能な炭素循環社会構築】「炭素自立推進組織(仮称)」設立準備委員会、発足
2050年カーボンニュートラルの実現と持続可能な炭素循環社会の構築に向け、2026年9月13日に、「炭素自立推進組織(仮称)」設立準備委員会が発足する。
「炭素自立」とは、エネルギーの脱炭素化に加え、国内で利用可能な炭素資源を最大限に活用し、循環利用することで、化石資源への依存からの転換を目指す考え方。その実現には、炭素資源の供給、変換、利用、回収、再利用に関わる幅広い産業や地域をつなぎ、資源、技術、需要、投資を結びつけた新たなバリューチェーンを形成することが重要。こうした取組を通じて、輸入化石資源への依存に伴う国富の流出を抑制するとともに、新たな産業や雇用の創出、地域経済の活性化につなげ、我が国の持続的な成長に貢献することを目指す。
準備委員会では、炭素自立を「ビジョン」から「社会実装」へと展開する新たな推進組織の設立に向け、その理念・ミッション、役割、活動内容、組織・運営のあり方等について検討する。産業界・学術界・行政・金融・自治体等の幅広い関係者との連携を通じ、持続可能な炭素循環社会の実現に向けた取組に貢献していく。
設立趣旨
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの導入、省エネルギー技術の普及、電化の推進など、我が国では脱炭素化に向けた様々な取組が進められている。一方、鉄鋼、化学、セメントなどをはじめとする素材産業では、炭素はエネルギー源であるだけでなく、炭素そのものが物質として生産プロセスと不可分の関係にある。このため、持続可能な産業・社会を実現するためには、エネルギーの脱炭素化に加え、国内で利用可能な炭素資源を最大限に活用し、循環利用する「炭素自立」の実現が不可欠である。
化学工学会地域連携カーボンニュートラル推進委員会では、このような考え方に基づき、「炭素自立ビジョン」を策定してきた。同ビジョンでは、鉄鋼、化学、セメント等のHard-to-Abate産業を対象として、国内で利用可能な炭素資源を最大限に活用する「炭素自立」の概念と将来像を提示した。その後、炭素を製品原料として利用する化学産業を中心に検討を深化させ、プラスチック循環、木質バイオマス、CCU(Carbon Capture and Utilization)を三本柱として、炭素フロー、2030年、2040年、2050年を見据えた技術・社会実装ロードマップ、経済性等の具体化・定量化を進めてきた。これまでの検討では、化学産業における炭素自立の実現に約19.1兆円の設備投資が必要と試算される一方、輸入化石資源への依存低減による国富流出の抑制、新たな産業・雇用の創出、地域経済の活性化など、大きな経済的・社会的波及効果が期待されることが示されている。さらに、国内で利用可能な炭素資源を基盤とした産業構造への転換は、海外資源への依存に伴う供給リスクを低減し、我が国の産業基盤の強靱化や経済安全保障にも資するものである。
今後、炭素自立を我が国の産業・社会全体で実現していくためには、これまで化学産業を中心に具体化してきた検討を、Hard-to-Abate産業をはじめとする幅広い産業へ展開するとともに、産業間をつなぐ炭素資源の循環を具体化していく必要がある。炭素資源の供給、変換、利用、回収、再利用は、個々の産業や企業の中で完結するものではない。林業・木材産業、製紙、化学、鉄鋼、セメント、エネルギー、廃棄物処理などの幅広い産業に加え、自治体、金融機関、学術界など、多様な主体が従来の産業・組織の枠を超えて連携し、産業間の炭素フローを形成することが不可欠。
さらに、炭素自立の社会実装を進める段階では、技術開発のみならず、炭素資源の安定供給、産業間の需給マッチング、事業化・投資、制度設計、標準化・認証、地域との連携など、個別の学協会、企業、業界団体のみでは十分に担うことが難しい産業横断的な取組が必要となる。特に、炭素資源の循環を実現するためには、異なる産業・地域に存在する資源、技術、需要、投資を相互につなぎ、個別技術の導入にとどまらない社会基盤としての実装を進めることが求められる。
こうした背景を踏まえ、これまで策定してきた炭素自立ビジョンを社会実装へと展開するとともに、産業横断的な炭素循環の実現を推進する新たな主体として、「炭素自立推進組織(仮称)」の設立を目指す。そのため、産業界、学術界、行政、金融機関、自治体等の幅広い関係者の参画を得て、同組織が果たすべき役割、必要な機能、活動内容、組織・運営のあり方等を検討し、設立に向けた具体的な準備を行うことを目的として、「炭素自立推進組織(仮称)」設立準備委員会を設置する。
設立準備委員会の目的
設立準備委員会は、炭素自立推進組織(仮称)の設立に向け、その理念、ミッション、役割、活動内容及び組織・運営のあり方について、産学官金をはじめとする幅広い関係者が議論し、具体化するとともに、推進組織の設立及び運営の基本的な方向性について合意形成を図ることを目的とする。新たに設立する推進組織は、特定の産業や分野の利益を代表する組織ではなく、炭素自立という社会的目標の実現に向けて、炭素資源の供給側と需要側、動脈産業と静脈産業、国と地域、産業界・学術界・行政・金融など、多様なステークホルダーをつなぎ、産業・地域・組織の枠を超えた共創を促進することを目指す。
推進組織には、例えば以下のような役割が期待される。
炭素資源の供給・変換・利用をつなぐ産業・地域横断的なマッチングおよびサプライチェーン形成
科学的・定量的根拠に基づく産業横断的な政策提言(One Voiceによる政策提言)
標準化・認証・トレーサビリティ等のルール形成への対応
産学官金・地域連携による社会実装プロジェクトの創出
炭素自立に関する情報、データ及び知見の共有と蓄積
炭素自立モデルの国際発信および国際連携
これらの役割および活動内容については、設立準備委員会において幅広い関係者の意見を踏まえて議論するとともに、炭素自立の実現に向けて各主体が果たすべき役割を整理し、推進組織の具体的な機能、組織形態及び活動計画等について合意形成を図る。
今後の検討事項
設立準備委員会では、炭素自立推進組織(仮称)の正式な設立に向け、主として以下の事項について検討を進める。
推進組織の理念およびミッション
推進組織が担う役割および優先的に取り組む事業・社会実装プロジェクト
組織形態、ガバナンス、会員制度および参画形態
運営財源および事業計画
ワーキンググループ等の活動体制
産業界、学術界、行政、自治体、金融機関、業界団体等との連携体制
国内外の関連組織との連携
推進組織設立までの工程
これらの事項は現時点で確定したものではなく、設立準備委員会に参画していただく幅広い関係者の意見を踏まえ、議論しながら構築していく。
多様なステークホルダーの参画を呼び掛け
炭素自立は、一つの技術開発プロジェクトではなく、我が国における炭素資源の流れと、それを支える産業・地域・社会の仕組みを再設計する長期的な社会変革である。その実現には、炭素資源の供給側と需要側、動脈産業と静脈産業、国と地域、産業界・学術界・行政・金融機関など、これまで異なる場で活動・議論してきた主体が一つの場に集まり、将来像を共有するとともに、それぞれが有する知見、技術、経験を持ち寄り、具体的な社会実装へとつなげていくことが必要。
この趣旨に賛同いただける方々には、「炭素自立推進組織(仮称)設立準備委員会」にご参画いただきたい。本準備委員会を、多様な主体がそれぞれの立場を超えて議論し、炭素自立を実現するために必要な仕組みや取組を構想するとともに、新たな推進組織のあるべき姿をともに創り上げる場としていきたい。
2050年、さらにはその先を見据えた持続可能な炭素循環社会の実現に向け、産業界、学術界、行政、自治体、金融機関、業界団体をはじめとする多様なステークホルダーの参画を呼び掛けている。
<炭素自立推進組織(仮称)設立準備委員会発起人>
辻 佳子 氏(公益社団法人化学工学会地域連携カーボンニュートラル推進委員会委員長)
河瀬元明 氏(公益社団法人化学工学会会長)
小宮山 宏 氏(一般社団法人プラチナ構想ネットワーク会長)
重竹尚基 氏(脱炭素成長型経済構造移行推進機構専務理事)
橋本 修 氏(一般社団法人日本化学工業協会会長)
筑本 学 氏(石油化学工業協会会長、予定)
島田泰助 氏(一般社団法人日本林業協会会長)
須藤 亮 氏(公益社団法人日本工学会会長)


